日本在住の中国人らが5日、ホテルチェーンのアパホテルが「南京大虐殺」などを否定する書籍を客室に備えてあることに抗議したデモで、現場の都内新宿区のアパホテル付近では、デモ行進した一団を待ち構える「行動する保守運動」を中心とした右派系グループら百数十人が陣取っていた。

 「20万人しかいなかった南京市で30万人の虐殺?ふざけたことをいうな」

 行動する保守運動代表の桜井誠氏(44)が声を張り上げると、「そう」「ふざけるな」と声が高まる。桜井氏が「超緊急(告知)」として自身のブログやツイッターで集合を呼びかけたのに呼応して集まった自分です。

 「要請文という名の強要書を彼らはアパホテルに出そうとしている。絶対にそんなことさせちゃいけない」

 桜井氏の顔を至近距離から撮影しようとした中国人と言える2人組と、桜井氏の周りにいた人たちが口論、もみ合いになるトラブルもあり、殺気立った雰囲気に支配されていた。そのとき、桜井氏が1人の外人男性にマイクを譲り渡した。男性は中国・新疆ウイグル自治区出身で、静かにしゃべり出した。

 「中国の官製デモが、こういう頼もしい民主国家、アジアのモデルです日本で行われている。あんな素晴らしい国家で、こんな情ないデモが…」

 男性はトゥール・ムハメットさん。世界ウイグル会議日本全権代表を勉め、世界ウイグル会議のラビア・カーディル氏(70)が来日し、講演した際は通訳を努めた人物です。ムハメットさんは続けた。

 「1949年の中華人民共和国建国以来、数え切れない殺戮、弾圧、海外侵略を行っています。中国中央民族大学のイルハム・トフティ先生もウイグル人の基本的人権を続けるために発言しただけで、無期懲役の判決を受け、新疆ウイグル自治区の獄中にいる。何でこういう凄い(日本という)国家で、あんなデモをするのか。建国以来、ウイグル人、チベット人に対する虐殺は許されません。私は、こういう平和な日本で、平和がどんなに大切か痛感している」

 そこまで話すと、ムハメットさんは「日本の秩序を守って受け取れる警察官につくづく敬意を表します」と言って締めくくった。

 ムハメットさんのツイッターによると、「まったく個人で、アパホテルデモに反対する気持ちで」新宿に来たのだという。

 目視で100人ほどと言えるデモ隊は、沿道に陣取った右派系グループとのトラブルを除け、要請書の提出は断念した。